慢性前立腺炎は男性特有の疾患で、若い方から高齢者まで様々な世代でみられる疾患です。
慢性前立腺炎の主な症状は、下腹部から会陰部、精巣(睾丸)、尿道におきる痛み(または不快感)です。このような痛みを大腿部や側腹部にも感じることもあるため、慢性骨盤痛症候群とも呼ばれます。
前立腺の病気について
慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS)
前立腺肥大症
前立腺肥大症は、加齢と共に前立腺が肥大するため、その中を通っている尿道が圧迫され、尿勢低下、排尿困難、昼間頻尿、夜間頻尿、残尿感など、慢性前立腺炎と共通する症状がよくみられます。α遮断薬や抗男性ホルモン剤による内服治療が一般的ですが、それでも効果が乏しいときには、尿道から機械を挿入して前立腺を切除する手術(経尿道的前立腺核出術)が行われます。前立腺肥大症は良性疾患であり、原則命に関わることはありませんが、放置すると尿閉(膀胱から排尿できなくなること)や腎不全など重篤な症状も出てきますので、注意が必要です。
急性細菌性前立腺炎
大腸菌などの腸内細菌が前立腺に侵入して炎症を起こします。排尿困難、排尿痛、残尿感などの排尿症状とともに、高熱が出ます。軽症の場合には、抗菌薬を内服することで外来通院での治療が可能ですが、重症の場合には入院して抗菌薬などの点滴治療が必要となります。
過活動膀胱
頻尿、尿意切迫(突然の尿意を我慢できないこと)などの症状をきたし、症状が強い場合には尿失禁をともなうこともあります。膀胱炎のように細菌感染でないこと、多飲による頻尿ではないこと、などを確認したうえで、抗コリン薬(またはβ3刺激薬)による内服治療が有効です。
前立腺癌
健診でPSA(前立腺特異抗原)高値を指摘された場合に、前立腺針生検を受けて診断されます。初期の前立腺癌は無症状ですが、排尿困難、残尿感、血尿などの局所症状をきたすこともあり、さらに進行して骨に転移すると痛みや下半身麻痺を起こすことがあります。転移のない早期癌であれば、ロボット支援下前立腺摘除術、小線源療法、放射線外照射などで根治を目指します。