慢性前立腺炎かなと思ったら?

慢性前立腺炎の診断と治療

慢性前立腺炎はおおまかに7つの症状に分類されています。
それぞれの症状(原因)によって治療の方法も異なってきます。
また、さまざまな治療法のなかには、保険診療として認可されているものと認可されていないものがありますので、一人で悩まずに担当医とよく相談し、理解した上で治療を受けてください。

排尿症状

頻尿、尿意切迫、排尿困難、排尿痛など、主な症状が排尿障害(蓄尿障害)の場合には、前立腺肥大症に有効なα遮断薬や過活動膀胱に有効な抗コリン薬などが良い適応となります。植物製剤(セルニルトン︎®)や漢方薬(清心蓮子飲、猪苓湯、竜胆瀉肝湯)も良い効果が認められています。

心理・社会学的要素

うつ状態や絶望的で無気力感が強い場合には、心療内科での治療が有効です。

前立腺の異常

検尿に異常所見がなく、直腸診で前立腺の圧痛、前立腺マッサージ後の検尿(前立腺液)に白血球が検出される、精液に血が混じる(血精液症)などの症状を認めた場合には、抗炎症作用のある植物製剤、抗男性ホルモン剤、鎮痛剤などが使われます。

感染

検尿に異常所見がなく、前立腺マッサージ後の検尿(前立腺液)に白血球や細菌を認めた場合には、抗菌薬による治療が主体となります。

神経症的要素

身体診察で下腹部や骨盤部を超えて広い範囲に痛みを認めた場合には、過敏性腸症候群、線維筋痛症、慢性疲労症候群などの疾患も考慮します。それぞれの疾患と症状に応じて、消化器内科、ペインクリニック、心療内科などでの治療が有効です。

骨盤底筋群の緊張

筋肉の痙攣による痛み、下腹部や骨盤部の圧痛、会陰部痛、尿道痛、精巣痛などを認める場合には、漢方薬(桂枝茯苓丸)や骨格筋弛緩剤の投与、マッサージや行動療法(運動やリラックスをする時間を設ける)などが有効です。

性機能障害

勃起不全などの性機能障害には、泌尿器科専門医による治療をお勧めします。

その他の治療

鍼治療が慢性前立腺炎に効果が見られたとの報告もありますので、一般病院での治療で効果が見られないときには試してみるのもひとつの手です。保険診療が可能で比較的安全に治療が受けられます。
尿管結石を破砕するよりもかなり弱い強度で体外衝撃波を会陰部から当てる方法もあります。この低強度体外衝撃波は、虚血性心疾患の治療の他、形成外科や整形外科でも使われており、血管新生作用とともに血管内皮機能や血流動態が改善されると言われています。安全性が高いことも認められていますが、現在は一部の施設で自由診療(保険外診療)でおこなわれています。

ご自身で判断せず、家族の助けを借りたり、かかりつけ医や泌尿器科医に相談してみましょう。 ご自身で判断せず、家族の助けを借りたり、かかりつけ医や泌尿器科医に相談してみましょう。